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キッザニアが平戸市に上陸!ドローンを使った未来の農業体験

2019.4.24

Entertainment

「キッザニア」とは、東京と兵庫にある子ども向けの社会・職業体験施設のこと。施設内には、実在する店舗が数多くあり、リアルな就業体験ができる。

そこで働くと、「キッゾ」という紙幣の報酬を得ることができ、ショッピングや他のサービスが受けられ、体験をとおして社会性を身につけられる空間となっている。小さい子どもを持つ親にとって、我が子に体験させたい人気施設のひとつだ。

今回は、そんなキッザニアが長崎県の平戸市にやってきた、というお話。

「Kids ジョブチャレンジ 2019 in 平戸〜アウト オブ キッザニア〜」に県内外からの多くの親子連れが集まる

「未来の観光体験〜ARザ・ライド」の説明を受ける子どもたち

3月の終わり、キッザニアを運営するKCJ GROUPが監修する“キッザニア出張版”ともいえる、「Kids ジョブチャレンジ 2019 in 平⼾〜アウト オブ キッザニア〜」が長崎県の平戸市で開催された。

「アウト オブ キッザニア」が開催されるのは2回目。平戸市での開催は独自の取り組みとして、市内の至る場所に体験ブースが点在するスタイルをとっており、例えば漁港を対象にしたプログラムであれば、集合は漁に出る朝6時半(本当の漁はもっと早い)など、本格的な職業体験プログラムが組まれている。

ほかにも、プロレス、バスケットボールなどのプロスポーツチームはメイン会場となる平戸文化センターにブース出展。平戸に暮らしながらも「地元にこんな仕事があるんだ!」と、子どもたちにとって大きな驚きとなったはずだ。

そんな中、KDDIはイチゴ畑の生育状況をドローンで確認する「未来の農業の仕事~ドローンプログラミング~」と、自走式モビリティとARを組み合わせた「未来の観光体験〜ARザ・ライド」の2ブースを用意。そこに参加した子どもたちの様子を見てみよう。

平戸の観光名所を案内する「未来の観光体験〜ARザ・ライド」

早速、各ブースの様子を見てみることに。まず「未来の観光体験〜ARザ・ライド」から。

「未来の観光体験〜ARザ・ライド」を体験中の子どもたち

こちらはタブレットが装着された自走式モビリティに乗って、観光体験をするというもの。

平戸城・田平天主堂・寺院と教会・塩俵の断崖といった写真パネルの前にくると、タブレットのカメラがAR情報を読み、バーチャルキャラクター「レナ」がその名所に関するクイズを出題。それを解きながら平戸市内の観光地を巡るプログラムだ。

「未来の観光体験〜ARザ・ライド」の説明を受ける子どもたちの表情
「未来の観光体験〜ARザ・ライド」のレクチャーを受ける子ども
「未来の観光体験〜ARザ・ライド」のクイズを体験中の子ども

ヘルメットを被った子どもたちは、モビリティに乗るためにレクチャーを受けてから出発。自分たちの暮らす長崎・平戸エリアの名所について学習した。

観光客が、その場を訪れてスマホをかざすと情報を知ることができるようになると、海外からの観光客に向けてアピール度の向上が期待できる。長崎県のような坂の多いエリアはこうした自走式モビリティも有効だ。

未来の農業の仕事~ドローンプログラミング~

続いて、「未来の農業の仕事~ドローンプログラミング~」へ。

こちらはドローンを操作し、イチゴの生育状況を知るため畑を通るルートを、プログラミングアプリを使って作成。ドローンのカメラでイチゴが赤くなっているか、虫がついていないか、遠隔で操作で撮影しようというもの。

「未来の農業の仕事~ドローンプログラミング~」の専用アプリを体験中の子ども

専用アプリによって、ルート・高さの設定といった項目を入力し、準備ができたら、いざ飛行!
飛行中はドローンが映している様子が常に表示されており、イチゴマークを発見したらシャッターボタンを押して撮影する。チェックポイントをすべて撮影したら、元の場所に戻ってきたのを確認して終了。

子どもたちは、慣れた手付きでプログラムアプリに入力し、すぐさま飛行に移行していた。

「未来の農業の仕事~ドローンプログラミング~」の専用アプリ画面
「未来の農業の仕事~ドローンプログラミング~」のドローン飛行を体験中の子ども

今回は、キッザニアということで子どもたちを対象に職業体験としてブースが用意されていたが、将来、通信に5Gが採用されると、本当の農業の現場で実用化が期待できる。

高解像度化によって農作物の生育状況を監視できるくらいの情報量を得て、人が畑に行く頻度を大幅に減らせることができるだろう。

5Gを利用すれば、人が毎日畑に行かなくても良い時代がくる
2020年4月からスタートする新しい通信規格、5G(ファイブ・ジー)。

4G LTEよりも、高速・大容量のデータ通信が叶う5Gは、IoT技術が導入されているビジネスの場や日常でも、より進んだ体験をもたらしてくれる可能性を秘めている。

今回の「アウト オブ キッザニア」で2つのブースを出展したKDDIだが、なぜイチゴ畑にドローンを飛ばす体験や、ARを使った観光名所の紹介体験を登場させたのか?

今回のプログラムの意図について、ブースの責任者であるKDDIの大野高宏と平戸市役所の藤田法恵に話を聞いた。

KDDI 新規ビジネス推進本部 サービス推進部 部長・大野高宏
KDDI 新規ビジネス推進本部 サービス推進部 部長・大野高宏

「今回のブースに5G回線は敷いていませんが、もし将来的に実用となれば、ドローンが中継してくる映像など、より高精細な映像がリアルタイムで届くことになり、人がイチゴ畑まで行かなくても生育状況を細かく知れて、収穫タイミングなどがわかるようになると思います。

『au ストロベリーファーム』の企画は、観光課長の藤田さんのご実家のイチゴ農園のお話をお聞きしたところからヒントを得て生まれたのです。農業や漁業に従事している人は、日本全国的に高齢化していますし、機械やテクノロジーに任せられるところは積極的に移行させていこうという考えです。

また、未来の観光では、バーチャルガイドにより簡単に多言語化に対応することができる。5Gになれば、旬な情報のライブ配信や中継、多人数同時接続がスムーズに行えるようになり、インバウンド旅行者の増加にもつながると思います。」(大野)

平戸市役所 観光課長 藤田法恵さん
平戸市役所 観光課長 藤田法恵さん

「私の80歳になる両親は現役のイチゴ農家を営んでいますが、水や温度の監視といった作業をドローンやIoTによって自動化できると、かなりラクになります。

特にイチゴという品種は1年で何度も採れるので、自動化による影響も大きい。高齢化はウチだけの問題ではなく、地方や日本全体の問題です。

『キッザニア』を通し、地元の子達に平戸にある職種や魅力について知ってもらい、誇りを持って地元で働く子たちが増えてくれるとともに、今回のプログラムで使用したような技術革新がどんどん進んで実用化してほしいですね」(藤田)

体験ブースの様子

「アウト オブ キッザニア」は、イベントの性質上、子どもたちの職業体験をメインとしているが、地方都市で開催されることによって、その土地の歴史伝統や魅力、そして産業といった「地域」に焦点が当たる。藤田さんは、町ぐるみでこうしたイベントを積極的に誘致し、交流人口が増えると活気がでると語ってくれた。普段は静かな商店街に子どもがひとりで歩いているだけで、地元の高齢者が明るくなるという声も多く聞かれるとのこと。

今回、将来の担い手である子どもたちに、進化する未来の農業の姿や、地元の歴史名所を観光業として紹介できる観光体験を提供することとなった。その土地ならではの職業体験と5G技術の融合が、子どもたちの記憶にどのように残っていくのか、さらに期待したいところだ。

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