マルチアングル動画を体験!「au 5G Special Event with IZ*ONE」
2020.7.22
Entertainment
VRやARなど、最先端技術と5Gを組み合わせたコンテンツが次々と登場している中、別アプローチの新たなサービス「マルチアングル動画プレイヤー」がリリースされた。現在「auスマートパスプレミアム」に加入すれば、手持ちのスマートフォンで気軽に体験できる。
マルチアングル動画プレイヤーとは、1本の動画コンテンツを4つの視点で楽しめるもので、自分の見たい画面をタップすると、その画面がメインカメラとして最も大きく写し出される。どのカメラをメインにするかを、視聴中に自分で選べるのが大きな特徴だ。画面の切り替えはスムーズで、ストレスなく操作できる。
自由自在にスイッチング! 4つの視点で何度でも楽しめる
今回、このマルチアングルを活かした動画コンテンツの第一弾として、IZ*ONE(アイズワン)の60分スペシャルトークライブと全13曲のライブ映像が公開された。
IZ*ONEは、韓国と日本のアイドル12名のメンバーが活躍しているアイドルグループ。韓国の音楽専門チャンネル「Mnet」とAKB48グループによる日韓合同のオーディション『PRODUCE 48』の合格メンバーで結成された。
今年の2月に発売された、1stフルアルバム『BLOOM*IZ』は、K-POP歴代ガールズグループの初週最多記録を更新。国内外問わず10代~20代を中心に人気を集めている。
全員が集合してのスペシャルトークショーでは、メンバーがファンからの質問に答えたり、与えられたミッションにチャレンジしたりと、和気あいあいな雰囲気で進行していく。ひとつの画面だけを見れば、一般的なバラエティ番組と感じる人も多いだろう。しかし、マルチアングルを切り替えてみると、また違った一面が見えてくる。
例えば、それぞれのアイドルたちの仕草。横一列に並んだアイドルの姿を、4つの視点で見られるため、登壇者一人ひとりが今何をしているのかを間近で確認できる。そのため、トーク外でこっそりと笑っていたり、隣の席と顔を合わせていたりといったような、通常のメディアならカットされてしまう部分も映し出されている。
普段であれば、画面の外側から飛んでくる他メンバーの声も、画面を切り替えれば、誰が発したものなのか、すぐに分かるのだ。
「番組の内容を押さえつつ、画面外の自分の“推し”が今何をしているのかも確かめたい」。そんな2つの願望をシームレスに叶えてくれるものとなっている。メンバー同士の細かな掛け合いも目に入ってくるので、非常に情報量の多いコンテンツという印象だ。
ライブパフォーマンスでも、マルチアングルの利点が活かされている。華麗に素早く動く彼女たちのダンスは、全員が映る引きの構図だけでは個々のアイドルを追うのが難しい。
しかしマルチアングルであれば、多人数であっても、今誰がどの位置にいるのかをしっかりと把握できた。ひとりずつの表情からダンスの繊細な動きまでを、さまざまな角度から見られるのもうれしいポイントだ。
もちろん、初回視聴時にはひとつのカメラだけに集中し、再度視聴する際にアングルを切り替えるといった見方もできる。逆に次々とアングルを変えて、コンテンツの細部から面白いポイントを探し出すような楽しみ方も可能だ。
視聴者が自分で面白さを発見できるコンテンツ
今回なぜマルチアングル動画が導入されたのか? 高速大容量のデータ通信が可能な5Gと組み合わせると、どのようなことが可能になるのか? KDDI ライフデザインサービス企画推進部 木桧沙織に話を聞いた。
「5Gであれば大容量の動画ストリーミングでも、遅延なく高速で行えます。そのため、マルチアングルを利用した生放送サービスなども配信可能です。
今回はマルチアングルそのものの魅力をまず知ってもらいたいという思いからアーカイブ視聴を採用しましたが、ゆくゆくは、リアルタイムなコンテンツをマルチアングルで楽しめるようなサービスを公開していいきます。
auの5G対応スマートフォンも夏から大きな展開を見せているので、それに合わせるかたちでサービスを拡張していきたいと思っています」(木桧)
また木桧は、ひとつのコンテンツで舞台の表と裏を同時に映し出せる点にマルチアングルの魅力があると感じているという。
「これまで画面に映る側は、ひとつのカメラだけを意識してパフォーマンスをしていましたが、マルチアングルになると本人が自然のままでいる様子も観られるようになります。ファンにとっては、“推し”のアイドルが本編進行中にどんな表情をしているのか逐一追うことができるので、舞台裏をのぞきこむような面白さがあると思いますね。
特に今回のIZ*ONEのように、複数人が出演するコンテンツは相性が良いといえます。彼女たちのダンスパフォーマンスは引きで見ても、1人に絞っても実に華やかです。どちらをメイン画面にしても満足にいくものになっています。
実際視聴された方々からも『この映像はすごい!』といった声が多く届きました。(IZ*ONEは)10代~20代の層に非常に人気があるため、彼女たちを入り口にして5Gの最先端コンテンツに興味を持ってくれるようになると嬉しいです」(木桧)
“推し”の一人ひとりの姿を追えるという長所は、ライブ会場でアイドルの1人に焦点を当てて撮影する韓国の「チッケム」と共通するものが感じられる。
現在、K-POPアイドルグループのYouTube公式チャンネルでは、一人ひとりのダンスパフォーマンスを見られるようにソロパートの切り抜き動画が多数投稿され、ファンの間で非常に盛り上がっている。今後マルチアングルが広まれば、そういった視聴文化が日本でも一気に浸透していくかもしれない。
またマルチアングル動画はバラエティだけでなく、スポーツ観戦やアーティストの生演奏など、さまざまなジャンルの娯楽に導入できるという。
例えばプロ野球の試合をメイン画面で観ながら、控室や観戦席、ブルペン、中継室などをスマホひとつで見られることになれば、ファンにとってはたまらないはずだ。表舞台と裏舞台、別々の離れた空間を同時に見せることで、より重層的なドラマが生まれるだろう。
「コロナウイルス流行以降、さまざまな分野でオンラインイベントも増えていますが、マルチアングルでの生放送が始まれば、よりリッチな体験として視聴者に届くのではないかと期待しています。
何より視聴者が自分で画面を切り替えつつ観たいものを追いかけられるので、能動的に面白さを発見できるようなコンテンツになっていくのではないでしょうか。まずは今回のような音楽ライブから、この魅力を伝えていこうと考えています」(木桧)
マルチアングル動画の制作には、4台以上のメインカメラが必要なうえ、一般的な撮影手法とアプローチが異なるため、一気に多くの作品を公開することは難しい。しかし徐々にコンテンツが増えていけば、制作する側からも様々な興味深いアイデアが生まれてくるだろう。
これから、どんな私たちを驚かせる動画が視聴できるようになるのか、今から目が離せない。
文・堀田隆大