ストイック過ぎるeスポーツプレイヤー
-R41N-選手のゲームに対する姿勢

DetonatioN Gaming PUBG MOBILE部門 AQUOS DetonatioN Violetに所属し、バトルロイヤルシューター「PUBG MOBILE」で活躍する-R41N-(レイン)選手。ゲームに対する誠実な姿勢とともに、一児の父としての素顔も持つ、注目の若手プレイヤーです。普段あまり語ることのないストイックな練習スタイルとプライベートについて、インタビューに応じてくれました。

真剣に取り組んだ陸上部で挫折。ゲームの道を志す

陸上部で活躍した後、高校を中退。eスポーツの道を歩んだという-R41N-選手。どのような経歴の持ち主なのでしょうか。

――最初にゲームに触ったときのことを覚えていますか?

「小学2年生のとき、『ニード・フォー・スピード』というレーシングゲームをやっていました。結構マイナーなゲームですが、幼い頃から車が大好きだったんです。ただ、ゲームは暇なときにやる程度で、外で遊ぶ時間の方が多かったですね」

――バトルロイヤルゲームを始めたのはいつ頃ですか?

「『荒野行動』を始めたのが、中学3年生のとき。自分はどこまで上達できるのか、挑戦してみたい気持ちがありました。FPSのノウハウがなかったので困惑しながらも、手探りで努力していたのを覚えています」

――陸上部での活動を教えてください。

「中学から陸上部で長距離走をやっていて、かなり力を入れていました。高校まで続けていたのですが、2年生のときに大きな怪我をしてしまったんです。走ることが困難になったショックは大きく、『何もやることがなくなった』という喪失感に陥りました」

――陸上を断念したことが、ターニングポイントになったのでしょうか。

「高みを目指して全力を注いでいたことが、陸上からゲームに変わった感じです。ただ、部活を辞めてからはヤンチャをしていた時期もあり、高校も中退してしまったので、すぐにプロを目指そうと切り替えたわけではありませんでした」

改善点は徹底的に分析する、チームでの“参謀”的ポジション

そうした中でリリースされた「PUBG MOBILE」は、-R41N-選手が現在プレイしているタイトル。どのような経緯でプロになったのでしょうか。

――なぜPUBG MOBILEを始めたのでしょうか。

「当時Cloud9にいた、カナダのshroud選手に憧れたのがきっかけです。そこから2年ほどプレイを続けた後、DetonatioN Gamingに所属していた知人の推薦を受け、2020年に『AQUOS DetonatioN Marine』に加入しました」

――チームで対戦をする「PUBG MOBILE」ですが、チーム内ではどのような立ち位置なのでしょうか。

「ゲーム中はサブオーダー兼アタッカー。反省会などの時間では、リーダーの補佐的なポジションです。改善しなければいけないことを積極的に発言するように心がけています。プレイ以外の時間は、雑談中に冗談を交えるなど、良い雰囲気をつくるように意識しています。ネガティブな発言など、チームメイトにとってマイナスとなることは絶対に言いません。プレイで士気を高めるように、盛り上げることが重要だと思っています」

――反省会ではどのようなことを話し合うのでしょうか。

「コーチを含むチームメンバーと、反省点を徹底的に洗い出し、改善方法を見つけるまで徹底的に追求します。漠然とした改善方法では、次につながらないからです」

――練習方法を教えてください。

「『PUBG MOBILE』はプレイ中のコミュニケーションが大事なゲームです。味方の声を聞き逃さない聴力を身につけるため、普段はわざと歌詞付きの音楽やニュースの動画を聴きながら練習しています。ゲーム終了後はその歌詞やニュースの内容をしっかりと聞き取れているかを確認。その訓練を繰り返すことで敵の動きが感覚でわかるようになり、いろいろなことに意識を向けられるようになるんです」

――仕事に対してはどのような姿勢で臨んでいますか?

「自分でもわかるほどストイックにやるタイプです。お給料をいただいてやっている以上、仕事として全力で取り組まなければいけないと思っています。eスポーツの世界は結果が全てなので、できるだけ真面目に、精進し続けるようにしています」

――もともとストイックな性格なのでしょうか……?

「子どもの頃から負けず嫌いで、他人より努力するタイプでした。陸上であってもゲームであっても、その点は変わっていないのかと思います。また、陸上部時代に怪我をした失敗を省みて、現在は体のケアを心がけるようにしています。eスポーツは手首を駆使しますし、ずっと座りっぱなしなので、コンディションづくりも大切。がむしゃらな努力だけではいけないと考えています」

普段からストイックに練習・試合に挑む-R41N-選手

“朝から朝まで”ぶっ通しで練習。結果が出るならなんでもやる

ストイックな姿勢でeスポーツと向き合う-R41N-選手。普段はどのような生活をおくっているのでしょうか。

――現在の生活リズムを教えてください。

「10時に起床して、明け方の4〜5時に就寝するまで、ぶっ通しで練習します。長い休憩はとりませんし、ゲームをしながら食事します。席を離れるのはトイレの時だけ。それを平日は毎日繰り返し、週に1回休みます」

――そんなにやって、疲れないのでしょうか……?

「5〜10分は休みます。ストレッチをしたり、リクライニングチェアでリラックスしたりします。そうすると集中は途切れず、体と頭は持つんです。多少疲れたとしても、結果が出ればそれでいいと考えています」

――オフの日はどのように過ごしていますか。

「寝不足や体の疲れをとるようにしています。体のケアをしたら、軽く練習もします。毎日やらないと腕が落ちるので、必ず少しは触れるようにしています」

新しい家族ができ、責任感を糧に高みへ

家族の一員が増えて試合へのモチベーションが上がる-R41N-選手

ゲーム一筋のように見える-R41N-選手ですが、実は2021年に結婚。さらに子どもも一人いるそうです。家族とeスポーツ、どのように両立させているのでしょうか。

――奥さまは-R41N-選手の活動を理解されているのでしょうか?

「はい。結婚をする際はしっかりと自分の仕事への思いを伝えました。eスポーツをプロとしてやっていく以上、パートナーの理解は大切だと思います。結果だけが評価される世界ですし、新しい業界なので、不安も多いと思いますが、温かく支えてくれています。奥さんがご飯を作って仕事部屋まで持ってきてくれるからこそ、先ほどのような生活ができるんです」

――お子さまが生まれて、何か変わりましたか?

「出産日、私は大会だったので立ち会えなかったのですが、喜びはすごく大きかったです。子どもが生まれたことで、より責任感が生まれ、仕事へのモチベーションも高まりました。最近はオフの日に家族で過ごすのが、一つの大切な時間になっています」

――仕事に育児と多忙な日々ですが、他に息抜きの方法はありますか?

「チームメイトと車の話で盛り上がったりしています。車は今でも好きで、ハンコンを買ってカーレーシングもプレイしています。のめり込むのを防ぐために、あえて免許は取得していません(笑)」

――周りの方々からのサポートについて、教えてください。

「自分はヤンチャしていた時代、不真面目だった時代があり、両親からはeスポーツ選手になるのを反対されたこともありました。それでもしっかりと誠意を見せ、結果を出せるように努力していたら、応援してくれるようになりました。やはり行動で示すことは大事。結果を残すことで、応援してくれている家族や友人に恩返しをしていきたいと思っています」

――今後の目標を教えてください。

「フィジカル、技術、戦略、チームとのコミュニケーションを含む総合的な能力値で、どんな選手よりも優れた選手になりたいです」

――大会以外で取り組みたいことはありますか?

「ないです。大会で勝つことしか頭にありません。今は全力で実力を上げ、実績を積んでいきたいと思います」

――eスポーツを楽しむ人々にメッセージをお願いします。

「試合中は冷静な判断や情報処理が求められるバトルロイヤルゲームは、派手さに欠ける部分もあるかもしれません。しかし、そこには選手の緻密な戦略やコミュニケーション、裏での努力が隠れています。そうしたところも含め、楽しんでいただけるとうれしいです」

どこまでも高みを追求しつつ、チームメイトや家族への心遣いも欠かさない-R41N-選手。今後、どのような選手へと成長していくのでしょうか。期待を込めて応援しましょう

ご家族が応援してくれている-R41N-選手

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取材・文:相澤優太