2022 SUPER GT REPORT 第3戦 鈴鹿サーキット

2022 SUPER GT REPORT
第3戦 鈴鹿サーキット < 予選 >

2022年5月28日(土) 来場者:11,000名  
天候:晴れ

5月の清々しさを通り越して、すでに夏が到来したような暑さの中でSUPER GTシリーズ第3戦、鈴鹿の予選が行われた。午前中の練習走行から予選への気温、路面温度の上昇がどうなるかによって、タイヤチョイスが難しい状況となっていた。そして、練習走行の最終盤で赤旗中断。そのまま終了してしまい、au TOM'S GR Supra 36号車のドライバー、坪井 翔とジュリアーノ・アレジの二人が十分にタイヤのフィーリングを理解し合うことができないまま、予選を迎えなくてはならなかった。特にアレジは、予選に向けたシミュレーションをほとんど行えないままだった。坪井がQ1を担当してQ2への進出を果たし、アレジは、Q2に進出した8台中8番手となった。予選日よりも高温が予想される決勝は、4列目外側のグリッドからスタートを切ることとなった。

  • ・ マシンのチェックは当然ながら、急激に暑さを増した状況に対して、タイヤのチョイスが難しい状況だった。
  • ・ 坪井 翔が中心となって、タイヤとマシンのマッチングを繰り返しチェックし、多くの時間を費やした。一方のジュリアノー・アレジにとっては、走行する時間が制約されて、予選のシミュレーションが行えないまま予選に臨まなければならなかった。一台のマシンを二人のドライバーがドライブするSUPER GTの難しさがそこにあった。サクセスウエイト25kgもネガティブ要素の一つとなっている。
  • ・ 坪井がQ1を担当し、5番手で突破した。トップは日産Zの3号車。4番手にホンダNSXの17号車を挟んでSupraでは3番手。
  • ・ アレジは、練習走行でニュータイヤのフィーリングを確認できないまま予選に臨んだ。
  • ・ タイヤのウォームアップからアタックに移る感触を手探りしながら、2周のウォームアップの後にタイムアタックを行った。
  • ・ 結果は8番手で、52周の決勝をスタートすることとなった。
Driver Car No. Qualifying 1 Qualifying 2
坪井 翔 36 P5
  1. 1’44.909
  2. -
P8
  1. -
  2. 1’46.137
ジュリアーノ・
アレジ
天候 / 路面 気温 / 路面温度
晴れ / ドライ 28℃〜28℃ / 44℃〜38℃

坪井 翔 36号車ドライバー

「練習走行から予選に向けてマシンのセットを変えた部分もありましたが、それ以上に今回はタイヤのチョイスに悩んでいました。それに時間がかかって、練習走行の最後、GT500クラスの占有走行も、タイヤ確認のためのニュータイヤを履けないまま赤旗が出て、セッションが終了してしまいました。ライバルも十分な走行はできていなかったでしょうから、こちらにとってはラッキーだったかと思っています。25kgのウエイトも少し影響していて、ジュリアーノ選手が占有走行でニュータイヤでトライできなかった。ランキングの上位3台がQ1落ちしているので、ここで上位へ食い込むチャンスですね。」

ジュリアーノ・アレジ36号車ドライバー

「練習走行では、マシンのセットアップは全体的に良い方向で進んでいたが、タイヤチョイスがとても難しくて、坪井さんが多くの時間をかけて走行していた。練習走行の中で、ニュータイヤでトライすることができなかったので、予選で初めてニュータイヤを装着してコースインした時には、このタイヤがどのようにパフォーマンスを発揮できるのかを手探りで走らなければならず、結果的には8番手のタイムしか出すことができなかった。決勝はかなり路面温度が上がることが予想されているので、タイヤチョイスが本当に難しかった。これも勉強の一つ。決勝ではできる限り良い成績を残したい。」

吉武 聡 36号車エンジニア

「練習走行では、最後の最後までタイヤチョイスに悩みました。一気に路面温度が上昇し、予選の時間帯にどれだけ上がるのかだけではなく、予選Q1、Q2で使ったタイヤのいずれかのタイヤで決勝をスタートするので、それも考慮して選ばなければならないですからね。今回ハード側のタイヤは、これまでテストできていなかった新たなもので、パフォーマンスは未知数の部分がありました。ジュリアーノがあまり周回を重ねることができなかったこともあり、8番手からのスタートととなってしまいますが、決勝で追い上げたいと思います。」

伊藤 大輔 36号車監督

「今回はとてもタイヤチョイスに悩みましたね。練習走行で坪井に多くの時間を割いて、2種類のタイヤを繰り返し走行してもらったので、アレジの走行時間が短くなってしまったのは申し訳なかったです。これほど一気に気温が上がって、路面温度が高くなるとは誰も思ってなかったですよね。午前中は雲が出ていて、午後に強烈な陽が差していたのですが、ハード側のタイヤのウォームアップがうまくいかなかったので、ウチはソフト側のタイヤで予選に臨んだのですが、ジュリアーノにとってはそのニュータイヤはぶっつけ本番だったので、思い通りのタイムを出すことができずに予選を終えてしまったということです。」

2022 SUPER GT REPORT
第3戦 鈴鹿サーキット < 決勝 >

2022年5月29日(日)  来場者 : 21,000名  
天候 : 晴れ

決勝日の鈴鹿サーキットは真夏日となっていた。スタート時には気温は30℃まで上昇して路面温度は50℃に達していた。 スタート前にハプニングが起きてしまった。スタートドライバーのジュリアーノ・アレジが、コースインしてスターティンググリッドに向かう周回で他車をパスしてしまった。その周回では全周追い越し禁止となっているので、この行為がペナルティとなり、スタート前にドライブスルーペナルティが科せられる事態になってしまった。1周目に7位へ順位アップしていたが、ペナルティ消化でGT500クラスの最後尾に順位を落としてしまった。路面温度が高い状況下で最小義務周回数、18周を消化してピットイン。坪井は、ロングスティントで安定したラップタイムを重ね、10位まで順位を戻して1ポイントを加算して終えた。

  • ・ アレジがスタートドライバーを担当。
  • ・ スターティンググリッドに向かう途中、デグナーカーブで前を走行するマシンが急激にスピードダウンしていたため抜いてしまった。グリッドに向かう周は、全周黄旗が提示されていて追い越し禁止なので、これによってドライブスルーペナルティを科せられた。5周を終えて、アレジはピットへ向ってペナルティを消化した。
  • ・ 作戦通り18周してピットインし、坪井に交代した。
  • ・ レース中盤で13位を走行。日産Zの23号車を先頭に、ホンダNSXの100号車と3台によるグループで周回を重ねた。
  • ・ 6位を走行していたNSXの16号車がGT300クラスのマシンに追突してリタイヤ。その後23号車もGT300クラスのマシンと接触してペナルティを受け、順位を二つ上げ10位へ。
  • ・ レースの最終盤まで100号車を追ったが、2台はほぼ同じペースだったためパスに至らず、そのままフィニッシュし1点を獲得した。
Driver Car No. Race Result / Fastest Lap
坪井 翔 36 P10
  1. 1’51.194
  2. 1’50.689
ジュリアーノ・
アレジ
天候 / 路面 気温 / 路面温度
晴れ / ドライ 30℃〜31℃ / 50℃〜38℃

坪井 翔 36号車ドライバー

「いきなりのペナルティーで気分は良くなかったですね。ジュリアーノ選手には今後気をつけてもらわないといけませんね。レース中のプッシュした結果でのミスとは違いますから。後方で23号車、100号車と3台で接近していたのですが、ペースが同じくらいだったのでパスすることが難しかったですね。それに前の2台はコーナーでかなりやり合っていて、もしかすると接触、アクシデントが発生するかも知れないと思い、こちらからチャージすることは控えていました。するとやはり、23号車はGT300のマシンを押し出してペナルティが出た。最小得点でしたが、シーズンを通して考えてみれば、この1点が大きな1点になるかもしれません。」

ジュリアーノ・アレジ 36号車ドライバー

「チームには本当にすまないことをしてしまった。デグナーカーブで気がついたら前のマシンがブレーキングしていて、間に合わずに前に出てしまった。ケアレスミスだった。8位からどれだけ順位を上げるか、それだけを考えていたけど、それもボクのミスで台無しにしてしまった。セカンドスティントで坪井さんが頑張ってくれて、展開も良くなって10位でフィニッシュできたことで、1点を獲得できたのは良かった。予選でもパフォーマンスを発揮できなかったし、今回は反省すべき点がたくさんあった。多くを学んでこれからのレースで頑張るしかない。」

吉武 聡 36号車エンジニア

「スタート前のペナルティは、チームにとっては痛かったですね。作戦面でミニマムでピットインさせることは予定通りでしたが、交換したハード側のタイヤとのマッチングが良くなかったですね。ウォームアップに坪井も苦しんでいました。ペナルティがなかったとしても苦しい展開になっていたでしょう。また、給油量が若干少なくて、燃費を考えて少しペースダウンしてもらったりと、今回はネガティブなことがいくつも重なってしまいました。予選から決勝まで良い週末ではなかったですが、次の富士では気分良く終えられるようにしたいと思います。」

伊藤 大輔 36号車監督

「スタート前にペナルティをもらうという珍しいことが起きてしまいました。前半でもアクシデントがいくつかあって、セーフティーカーが入って、そこで周回遅れにならずに済んだという、我々にとってはラッキーな面もありました。ミニマムでピットに入って追い上げられればと思っていたのですが、タイヤ選択に悩み、ベストマッチを見出せずに決勝に臨んだことで、ドライバーたちには苦しい走行を強いる結果となってしまい申し訳なかったです。最悪の状況の中で最低限の結果を出せた。SUPER GTでは、このような時に1ポイントでも獲得することが重要。これから中盤戦、終盤戦に向けてポジティブな意識で戦って行きます。」

舘 信秀 総監督

「ジュリアーノのミスは一体どうしてしまったのかと思うほどのケアレスミス。彼もこれまでいろいろなカテゴリーを経験してきているのだから、知らないという訳はないのに、ミスを犯してしまった。GT500クラスにステップアップし、ルーキーとして結果を出せずに難しい、苦しい環境に置かれている。チームとしては、このような状況を経て、もっと経験を積んで結果を出せるように彼を育てていきたい。坪井が、最後まで諦めずに走って、価値ある1点をもぎ取ってくれた。この1点の獲得をシーズンの終わりで喜ぶ展開に持って行きたい。」