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TEAM au の楢󠄀﨑明智

【TEAM au インタビュー】楢󠄀﨑明智 目の前の大会を頑張る

昨夏の国際大会を終え、スポーツクライミング界が新たなシーンへと突入した2022年、W杯シーズン開幕前の3月にTEAM auの各メンバーにインタビューを実施。一時期メンタルが落ち込んでいたという楢󠄀﨑明智には復活した心境の変化、ゲームをしたり愛犬と過ごしたりするオフの生活について聞いた。

「頑張らなきゃ」が「頑張りたい」に。復活した大会へのモチベーション

まずは3月に行われた国内開幕戦、ボルダリングジャパンカップ(※ 以下BJC)の感想から教えてください。準決勝9位に終わり、上位6人による決勝には惜しくも届きませんでした。

「今年は決勝に行って頑張るつもりでいたので、悔しさが残ります。でも自分の成長している部分をたくさん感じられて収穫も多かったです。去年は大会に対するメンタルが落ち込んでいて、頑張れる気になれず得られるものが少なかったので」

※ ジャパンカップは日本山岳・スポーツクライミング協会が主催する各種目の国内一を決める大会。毎年行われ、その年の日本代表選考も兼ねている

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今大会で得られたものとは何でしょうか?

「強傾斜壁の課題における、強度のある動きに対応できるようになっていて、フィジカル的な仕上がりを感じています。あとは"本番発揮力"というか、大会で力を出し切る感覚を養わないといけないと実感できたことです。なのでこれから出場する予定のジャパンツアー(翌年のジャパンカップ出場権が懸かるツアー戦)などの大会を楽しみにしています」

第17回ボルダリングジャパンカップの課題を登るTEAM auの楢󠄀﨑明智
ボルダリングジャパンカップでは9位。決勝には届かなかったものの、2019年以来となる日本代表権を獲得した(写真:窪田亮)
メンタル面の落ち込みは、やはり代表選考の問題で昨夏の国際大会に出場できなくなってしまったからでしょうか?

「あの大会に出られなかったこと自体よりも、そこに向けてかなりトレーニングをしていたのに(代表選考レースが途中で打ち切られたために)その成果を試す場(日本代表を決める大会)がなくなってしまったことで、以降の大会に向けるエネルギーが減ってしまいました。『どうしてこんなに頑張ってトレーニングしていたのに(選考の)大会がなくなったんだろう?』って、力を出し切ることすらできなかったのが一番こたえましたね」

そこからどのようにしてモチベーションを取り戻したのでしょうか?

「大会に出たくないという気持ちはありつつも、ずっとトレーニングは続けていたんです。練習自体は楽しかったですし、昨夏の国際大会に向けて努力していた(兄で同じTEAM auに所属する)智くん(智亜)のトレーニング相手にもなっていたので。その後、智くんや(TEAM auの藤井)快くんをはじめとした日本代表チームがW杯や世界選手権で活躍するのを見て、僕も登っているうちに調子も上がっていたので、頑張りたいという気持ちになりました。それまでの『頑張らなきゃ』が『頑張りたい』に変わったんです」

TEAM auの楢󠄀﨑智亜と楢󠄀﨑明智
兄・智亜の活躍する姿が明智にポジティブな影響を与えた
ボルダリングにおける自身の長所について教えてください。

「身長(190cm近く)が高いのでリーチがあることと、大会の予選で出てくるような(準決勝・決勝に比べると)グレード(※)の低い課題を登る安定感ですかね。1級や初段ぐらいのグレードであればほぼ穴がなく登れる自信があります」

※ボルダリングの難易度。段級位制で表す

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短所を挙げるならば?

「短所は『準決勝』です。準決勝って、何か1つの強い武器を持って、その自分の得意な課題を拾っていく感じなんですよ。僕が他の選手より優れているとしたら緩傾斜壁の課題なんですけど、最近の大会、特に国内大会は緩い傾斜の課題がやさしくなっている傾向にあって、そこで差がつきにくくなっているんです。ただ、他にも要因があるんじゃないかと考え始めているところです。例えばユース選手と代表の練習会で登っていても負ける感じはしないのに、大会だと負けてしまう。智くんにも『お前はもう練習量じゃない。何か気持ちの部分で欠けてる』って言われて(笑)。何が足りないんだろう?って、最近はずっと考えてます」

ボルダリングの課題を登るTEAM auの楢󠄀﨑明智
190cm近い長身は絶対的な武器に挙げられる
BJCの翌週にあったリードジャパンカップでは準決勝に進出したものの、多くの選手が失敗したランジ(※)のパートで明智選手もミス。16位敗退でした。

「(ランジのパートは)取るべきホールドの位置を見失っていて、ホールドがないところに飛びに行っちゃったんですよ。他の選手は単純に距離が足らずに落ちていたんですけど、僕は距離は十分だったのに何もないところに行って『ここ何もないじゃん!』という感じで落っこちた(笑)。『やっちまったな』って感じです。でもランジの距離は出ていたし、見落としがなければあそこは突破できていたと思うので、そこまでネガティブには考えていません。今年はリードの日本代表権は逃しましたが、その分リードの基礎トレーニングができる時間が増えたと捉えるようにしています」

※ クライミングにおける動き方(ムーブとも言う)の1つ。壁の中でジャンプするダイナミックなムーブ

リードにおける長所と短所も教えてください。

「まず苦手なのがフラッシング方式(自分の競技前に他者の競技を見ることができる)のラウンドです。これはボルダリングでも同じことが言えるんですけど、自分の中で自分と他人の体のサイズ感の差を埋め切れてないんですよね。練習で他の誰かが登っているのを見て『ああいう感じなんだ』と思っても、体の大きい自分が登るとそのイメージがズレていることが多くて。本番でも慌てちゃうんですよ。W杯で同じ日本人選手と『あの場所気をつけるね』ってオブザベーション(課題の下見)の時に話しても実際は『全然違うじゃん!』ってなるので(笑)」

フラッシング方式はリードの大会の予選で採用されていることが多いですよね。

「それならいっそ他人の登りは見ないほうが良いんじゃないかとも思うんですけど、でも見なかったら見なかったで緊張するじゃないですか(笑)。反対にオンサイト方式(他者の競技は見られない)のラウンドは得意で、最後に出場した2019年のW杯シリーズのリード5戦のうち、予選を通過した3回は(オンサイト方式の準決勝を突破して)決勝に残っているんですよ」

オンサイトが得意なのは、オブザベーションで登るルートの道筋をしっかり把握できているからでしょうか?

「はい。あとは、壁の中で小細工ができる。例えば他の選手は右のかかとだけを支えにしてレスト(体力回復のための一時休息)しているところを、僕は左足もホールドに当ててより楽な姿勢にするとか。意識しているわけではないんですけど、登りながらとっさに小技を駆使するのは上手なほうだと思っています」

ボルダリングの課題を見つめるTEAM auの楢󠄀﨑明智
オンサイト能力には自信がある一方で、他人の登りを見るとイメージに狂いが生じてしまうという改善点も

クライミング、犬、ゲームが僕の人生

ここからは競技面以外のお話をお聞きします。まず、兄の智亜選手が同じTEAM auの野口啓代さんと結婚されました。

「いつか2人の子どもを見てみたいなぁと思います。すごい才能を持つ子が生まれてきそうですよね。僕の予想だと、抱っこして落ちそうになっても洋服の端とかを掴んで浮いてるんじゃないかなと(笑)」

昨年末には野口さん、智亜選手、池田雄大選手が運営するYouTubeチャンネル「TAMY Climbing Channel」に加入されましたね。

「みんなでいろんな企画を考えるのは楽しいです。智くんの笑顔が多いし、メンバーの素に近い雰囲気も出ていて、そういうところを見せられるのは良いなと思います。視聴者の方も親近感が湧くと思いますし。(日本代表選手の森)秋彩ちゃんとの対決企画や、どれだけ智くんのことを知っているかという『智亜王』は楽しかったな」

今後やりたい企画はありますか?

「ボルダリングジムの制覇企画をやってみたいです。1日でそのジムにある全課題を登れるのか?みたいな。それがそのジムの集客にも繋がって貢献できたら良いなと思いますし。みんなとはいろんなところに影響が出るような企画をやっていきたいねと話しています」

TEAM auの楢󠄀﨑明智
兄・智亜らのYouTubeチャンネルに加入。活動の幅を広げている
練習のないオフの日はどのように過ごしていますか?

「犬の世話とゲームですね」

ルイくんという2歳のゴールデン・レトリーバーを飼っていますよね。

「めちゃくちゃかまってちゃんで甘えん坊の、常にくっついていたい子ですね。YouTubeで『もっと見せてほしい』ってコメントがたくさん来るくらい人気なんですよ」

大型犬は世話がいっそう大変なのでは?

「もう慣れましたね(笑)。毎日2回は散歩していますし、ブラッシングも毎晩しています。本能が薄いのか(笑)、穴を掘ったり、吠えたり、物を嚙んだりもしないんですよ。子犬の頃に噛んだらめちゃくちゃ叱っていたからかもしれないですね。だから手間はかからない子です」

TEAM auの楢󠄀﨑明智
「クライミングか、犬か、ゲーム。それが僕の人生ですね」と笑って答えた
ゲーム好きの明智選手ですが、最近一押しのタイトルはありますか?

「言っていいですか?(笑) 『VALORANT(ヴァロラント)』っていうPCゲームです。eスポーツでは今一番熱いゲームで、クライミングのジャパンツアーのようなツアー戦の配信では同時視聴者数が20万人近くいるんですよ」

国内の配信でそれはすごいですね。どういうゲームですか?

「5対5のチーム戦によるシューティングゲームです。有名な『Fortnite(フォートナイト)』や『Apex(エーペックス)』と同じ1人称視点なんですけど、この2つはどこに安全地帯があるか、どこに武器が置かれているかが決まっていなくてランダム要素が強い。でも『VALORANT』は基本的に公平で、同じ条件下で戦うんです。だから戦略や知識がより重要で競技性が高い。それもあって視聴者数が多いんですよね。でもプレイヤーは意外と少なくて。競技として観るのが面白いのであって、いざ自分がやるとなると難しいんです。僕もプレイしていますが、チーム戦で一緒にやってくれる仲間が欲しいんですよ。プレイしている方がいれば、ぜひSNSでDMを送ってください(笑)」

インタビューに答えるTEAM auの楢󠄀﨑明智
ゲームの話を熱く語る明智。クライミングから離れると"ゲーマー"の一面を持つ
TEAM auには加入して4年が経ちました。

「とても誇りに思っています。ネガティブな時にはプレッシャーになっていたこともありましたけど、サポートしてくれている方々がいるからこそ『自分も結果を出したい』『また頑張ろう』という気持ちになる。スポーツクライミングが昨夏の国際大会の実施種目として採用が決まった頃から、ずっと選手をサポートしてくれているわけじゃないですか。応援してくださっていることには感謝しかないですし、うれしいです」

auからのサポートと言えば、明智選手が練習拠点としている『au CLIMBING WALL』の存在も大きいのではないでしょうか?

「最高の環境ですよね。完全プライベートな空間なので、周りのお客さんを気にしなくていい。僕が大会に出たい気持ちが下がってしまっていた時には人前で登るのも避けたかったので、そういう時もありがたかったです」

目標の2024年へ。まずは目の前の大会で結果を

今は週に何回ほど練習していますか?

「4回か5回ですね。5回だと疲労が抜け切らず毎週は続かないので、5回やった次の週は3、4回に抑えています。メインの練習はボルダリングですけど、そろそろジャパンツアーが始まるのでリードの頻度も高めていきたいです」

2024年の国際大会はどう捉えていますか?

「明確な目標です。『大会に出たい』という気持ちも戻ってきていますし、行けるところまで頑張ってみようかなと思っています」

ボルダリングの課題を登るTEAM auの楢󠄀﨑明智
今後の目標は2024年の国際大会。まずは目の前の大会で結果を残していく
今シーズンの目標を教えてください。

「W杯やジャパンツアー、兄とペアで出場する予定の(地元・栃木で開催される)国民体育大会......。まずは目の前の大会で結果を残すのみです」

最後に「今年は自分のここに注目してほしい」というポイントがあれば教えてください。

「どういうとこだろう? 実は『自分がどんな登りをしたいか』っていうのを探しているところなので。いずれにしても何かしら成長した姿をお見せできればと思っているので、大会を観て感じたことがあればぜひYouTubeでコメントしてほしいです(笑)。今年はリードの日本代表から外れてしまい、ボルダリングもW杯に派遣される日本代表内での優先順が低いため出場大会数が少ないので、そういう意味でも自分のいるYouTubeを観てほしいですね(笑)」

TEAM auの楢󠄀﨑明智
終始明るくインタビューに答えた明智。再びW杯などで活躍する姿を見せてほしい

※掲載内容は2022年3月時点の情報です。

取材・文:CLIMBERS編集部
写真:永峰拓也
撮影協力:B-PUMP 荻窪店

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