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今年のボルダリング世界王者・藤井快。子どもたちに「クライミングを長く続けてほしい」と願いを口にする

藤井快がキッズクライマーに説く 「クライミングを長く続ける秘訣と上達の心得」

近年のスポーツクライミング人気で子どもの競技人口が増加傾向にある一方で、同時に高まる"競技志向"や"勝利至上主義"を危惧しているというTEAM auの藤井快。2020年までボルダリングジムに勤務し一般客向けのレッスンなどを担当しており、競技引退後は子どもたちなどへと指導を行う道を考えているという藤井に、キッズクライマーへ向けたクライミング継続と上達の"コツ"を指南してもらった。

2022年に30歳を迎える藤井選手ですが、競技引退後は指導の道へ進むことに興味を持たれているそうですね。

「漠然とですが、子どもたちや趣味で始めたいという大人に長くクライミングを続けてほしいと思っていて、そのためのレクチャーをしていければと考えています」

子どもたちの話で言えば、大会出場選手数の増加など近年のトレンドとして小中学生における競技人口拡大が挙げられると思いますが、藤井選手のユース時代と何か違いを感じますか?

「一番はケガです。僕が中学生の時は基本的にはワンハンドサイズのホールドが主流で、ケガと言えば指や手首に関するものが多かったですけど、大きいホールドが使われることの多い現在では肩、肘、膝の故障も増えていると感じています」

具体的には?

「特に関節系ですね。よく見られる肩を使って大きいホールドをプッシュする動きは関節で固めていくのですが、子どもは体が柔らかいのでそれが仇になる可能性があります。ただでさえ大人でもケガをすることがあるのに、筋肉が少ない彼らが大人と同じ大きなホールドを止められているということは、筋肉以外の部分でホールドを押さえていることになりますから」

そのような動きは控えたほうがいい?

「うーん。言い切るのは難しいですね。いつ頃勝ちたいかにもよると思います」

低い年代での競技志向の高まりという話に繋がってきますね。

「早い段階から競技志向になることが良いことなのか悪いことなのかは正直わかりませんが、僕は競技に重点を置くのは高校生くらいからでいいのかなと思っています。自分はクライミングを始めたのが中学生になってからと遅かったですし、大会に対してもっと頑張ってみようという競技志向になったのも高校2、3年生くらい。それまでは友達と登るのが楽しくて続けていましたが、その友達がクライミングをやめてしまい、自分がうまくなることに楽しさを見出していったんです。

高校生くらいからハードな動きに耐えられる体ができてくるので、そこから競技志向になってもいい。それと中学生の時に活躍していても、そのあと名前を聞かなくなってしまった人もいます。早期にクライミングに対して燃え過ぎると、燃え尽きるのも早くなってしまうこともあり得ますからね。

一方で、勝ちたいと思うのは当然のことだとも思います。でも、勝つために何をするのか。それにはいいことも悪いことある。大人は自分を抑制できますけど、子どもは純粋なので悪いことが表に出る可能性だってある。そこに不安を覚えます」

そのお話に関連しますが、最近では"勝利至上主義"の高まりを懸念する声が少なくありません。

「勝利するために、どういうプロセスを踏んでいるのかは僕も気になってしまいます。例えば、食事内容を気にして制限していたとしたら、『小さい時なんて気にせず食べればいいのに』と僕は思ってしまいます。勝つために何かをすることは必要だと思いますけど、していることが行き過ぎていないかが一番心配ですね」

インタビューに答えるボルダリング世界王者の藤井快
「勝ちたいと思うのは当然」「勝つために何かをすることは必要」と認めつつ、間違った努力や行き過ぎにならないようプロセスを大事にしてほしいと藤井は話す
純粋にクライミングを上達したいと願う子どもたちに向けたアドバイスも伺いたいのですが、普段の練習でどんなことに意識するといいですか?

「人と比べてしまうのが一番良くないことだと思っています。僕もいろんな人を見て『ああなりたい』と思うことはありますし、『彼よりもここが弱い』『彼よりもここができない』というのをすごく考えてしまうので、自分自身できている自信は正直ないです。ただ、小さいうちから『誰々よりも......』と考えてしまうと悪い方向に行きやすいと思うので、しっかり自分自身にフォーカスしてあげることが大切なのかなと思います。主体性を持って練習すれば自分の調子を把握しやすくなって『今日は休もう』といった判断もできるようになるはず。そうするとケガのリスクは減ると思いますし、最終的には長くパフォーマンスを発揮できて、長く競技を続けられるのではないでしょうか」

「他人軸」よりも「自分軸」で考えたほうがいいと。

「そうですね。あとは、難しい課題を登ることがすべてではないと考えています。小さい頃に難しい課題を練習すれば強くなれるわけではありません。自分のできる課題をいかにもっと簡単に登れるようになるかという練習を積み重ねていくことをオススメしたいです。課題のグレードが上がれば上がるほど、体に対する負担は大きくなっていきますから」

難易度の高い課題を1度登れたから、さらにグレードを上げようとはしないほうがいいという考えですか?

「はい。例えばある2級課題を登れたからといってすごいのかというとそうではないと思いますし、どちらかと言えば小さい時はケガをしないことがすべてです。僕は故障をしない体が最強だと思っているので。これに関連して気をつけてほしいのが、着地によるケガです。完登した時はできるだけ壁の下のほうに降りてから着地したほうがいいです。小さい時は体にかかる衝撃が大人より大きいので、壁の高さが4、5mだとすると子どもにとっては僕らが7mくらいの高さから落ちるのと同じ感覚だと思うんですよ。小さい頃からのダメージの蓄積で、大人になってから着地の際に背中や腰を負傷してしまうこともありますから」

子どもたちの上達やケガなどを考えた時に、保護者の存在も大事になってくると思います。気をつけてほしいことはありますか?

「さじ加減がとても難しいところだと思いますけど、子どもより親のほうが夢中になってしまうケースが少なからずあると思うんですよね。小中学生がジムに登りに行く際は保護者帯同を求められることが多いですが、子どもに『こうやったらいいんじゃないか』とあれこれ言ったり、あるいは失敗を叱ったりしてしまう場面を何度か目にしたことがあります。僕も自分の子どもがクライミングをやっていたら口に出ちゃうと思うので、もし自分の子どもがクライミングをするとしたら関わらないほうがいいと思っているんです(笑)。僕の親はクライミングのことをまったく知らなかったので、僕のクライミングそのものに対しては何も言いませんでした。僕が『靴が欲しい』『ジムの月パスが欲しい』と言ったら買ってくれて、自分の意思でこうしたいと言ったことに対して背中を押してくれた。これは僕の経験上ですけど、本人が『やりたいからやる』という子どもの意思をそのまま尊重する形がいいのかなと思いますね。親御さんがクライミングをやっているわけではないですからね」

最後に藤井選手をはじめとしたトップ選手に憧れる子どもたちに向けて、クライミング上達の「心得」があれば教えてください。

「『真面目にコツコツやること』。これに尽きます。僕はどちらかといったら年を重ねていくにつれて成績が出ていったタイプです。腐らずにあきらめないで努力し続けた末に結果を残すことができました。『今を大切にする』ことも大事だとは思いますが、必ず成長はするので『未来に向かっていけるメンタル』を持つことが重要なのかなと思います」

「サボらずにやろう」とも言えますか?

「そうするとまた苦しくなるんですよ。やり過ぎても良くないんですよね。クライミングが楽しいのはもちろんですが、普段の生活を豊かにしていくともっといろんな楽しさを知ることができるはずです。子どもの頃からいろいろな感性を磨いたほうが先々に生きてくるのかなと思いますね」

クライミングばかりにならず日々を過ごしてほしいと。

「僕がやり過ぎちゃうタイプで、もっと他のことをやっておけば良かったなと思うことがあるので、子どもたちには『クライミングだけじゃないんだぞ』と伝えたいですね。その上で、クライミングをする時は思い切り楽しんでほしいです」

※掲載内容は2021年12月時点の情報です。

取材・文:CLIMBERS編集部
写真:永峰拓也
撮影協力:B-PUMP 荻窪店

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