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いまさら聞けないボルダリングの基礎知識 データで見る日本人クライマーの強さ

いまさら聞けないボルダリングの基礎知識 データで見る日本人クライマーの強さ

知っているようで知らないスポーツクライミングやボルダリングの基礎知識を連載形式で解説していく本連載。第12回は、日本人選手の強さについて、クライミングを主なテーマとする人気ブログ『Mickipedia』管理人の植田幹也さんが、国際大会のデータから紐解いていく。世界的に見て、日本の立ち位置はどれほどなのだろうか。

およそ10年前までは「個」が活躍していた日本

特にボルダリングにおいて、いまや多くの選手を国際大会の表彰台に送り出している日本はクライミング強国と言って過言ではありません。ですが、1989年に始まったクライミングW杯は2000年あたりまでフランスの一強時代が続きました。日本勢は平山ユージが1998年と2000年にリードの年間優勝を果たすものの、その後10年ほどは頂点に立つ選手が現れませんでした。

2010年前後になると、その他欧米の国々がフランスを追随するなかで、日本も男子リードで安間佐千(あんま・さち/2012、13年間優勝)、女子ボルダリングで野口啓代(2009、10、14、15年間優勝/現在はTEAM au所属)といったスター選手を輩出します。ですが、日本にはまだクライミング強国と言えるほどの基盤はなく、あくまで個が活躍する時代でした。

選手層が一気に厚くなったボルダリング

日本は2015年あたりからボルダリングを中心に力を急速に付け始めます。その強さが端的に表れているのがW杯の国別ランキング(※1)で、なんと2014年から2019年まで6年連続(※2)でボルダリング1位に輝いているのです(2021年も第4戦を終えてトップ)。

※1:W杯では各大会で国ごとに男女上位3名のポイントを合計。国別ランキングに加算する
※2:W杯開催がリード1戦のみだった2020年はデータから除外

ボルダリングW杯 国別ランキング

※2021年は第4戦までの結果

決勝進出率(決勝進出者に占める国別選手割合)も2014年まで日本はオーストリアやフランスの後塵を拝していましたが、翌年から1位をキープし続け、近年では30%~40%を超える驚異的な割合になっています。原則として男女6名ずつ、計12名が決勝に進むので、平均して4、5人ほどの日本人選手が毎回進出していると考えると、層の厚さをより実感できるのではないでしょうか。今年5月のW杯インスブルック大会では、男子ボルダリングの表彰台を日本勢が独占する快挙を達成しています。さらに日本人選手は2016年の加須大会から2019年の呉江大会まで、実に24大会も連続して表彰台に乗り続けたというデータもあります。これもボルダリングにおいて日本人選手がトップ層に定着している事実を示すものです。

男女ボルダリングW杯 決勝進出率

急速に力を付けているリード、躍進が期待されるスピード

一方、リードでは安間やW杯優勝経験のある小田桃花が活躍していた2013年に国別ランキング1位を獲得しますが、以降ヨーロッパの強豪国に王座を明け渡します。しかしボルダリングの急成長の後を追うように、近年は男女ともに再び力をつけ始め、2017年3位、2018年2位、そして2019年に6年ぶりとなる首位へと返り咲きました。歴史的な強さがある欧米諸国にとっての花形種目で日本が1位を獲得したことは、世界にクライミング強国としての存在感を示したと言えます。

リードW杯 国別ランキング

※2021年は第4戦までの結果

ボルダリングとリードに比べ、スピードは長らく日本人に馴染みがありませんでしたが、3種目複合に入ったことで日本のトップ選手たちが取り組み始め、ここ数年でめきめきと実力を伸ばしています。国別ランキングは2019年14位、2021年は第2戦を終えた7月現在で6位ではありますが、同年の開幕戦で野中生萌が銅メダルを取り、日本勢初の表彰台に乗る快挙を遂げています。スピードでもまた、日本は台頭し始めているのです。

日本が強くなった要因とは?

データで見ると、特にボルダリングにおいて日本の強さがより際立ちますが、なぜここまでのクライミング強豪国になれたのでしょうか。3つの要因を考察します。

① 選手同士が互いに高め合う好循環
冒頭で述べたように、2010年代前半まででW杯の年間を制した日本人は平山、野口、安間といったごくわずかな選手のみでした。しかしボルダリングW杯の男子では2011年に優勝を経験した堀創(ほり・つくる)や、2013年に優勝した杉本怜など、世界に通用する選手が複数登場し始めます。

そして彼らが切り拓いた道を追うように選手同士が互いに力を高め合うことで、2016年の楢﨑智亜のW杯年間&世界選手権のボルダリング優勝、藤井快(いずれも現在はTEAM au所属)のボルダリングW杯年間2位といった日本勢の爆発につながるのです。さらに他の選手も触発され、2018年には原田海が世界選手権ボルダリングを、野中がボルダリングW杯年間優勝を果たし、また伊藤ふたばや楢﨑明智(いずれもTEAM au所属)らも存在感を見せるなど、次々に大舞台で活躍できる選手が現れる好循環を生み出しました。

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同じ日本勢の活躍に刺激され、切磋琢磨することで互いに成長。その結果、複数名の日本人選手が国際大会の決勝に進出する光景が当たり前になった。

リード男子でも2017年に是永敬一郎がW杯優勝を経験したことで日本が世界に通用することを示し、ここでも切磋琢磨する環境が整い始めたことで、2019年には複数の日本人が表彰台に入り、国別ランキング1位を奪還しました。

② ジムの急激な増加
一般的に複数のトップ選手を生み出すには、競技人口の裾野が広がる必要があります。日本では2010年以降に急増したクライミングジムがそれに大きく貢献したはずです。データ(※)によると、2008年時点で日本のクライミングジムは100軒以下でしたが、7年後の2015年には約400軒へと増大します。比較対象としてクライミング大国であるアメリカを見ると、2008年にはすでに200軒を超えていましたが、2015年は400軒に達していません。この期間に日本はアメリカの2倍以上の成長率を見せているということです。このようなジムの急増が厚い選手層を生み出す原動力となったでしょう。

※『CLIMBING joy』(山と渓谷社)、Climbing Business Journal(海外サイト)の「Gyms and Trends 2019」より推定

③ 課題傾向の変化
ボルダリングとリードの両方で課題傾向が日本人向きに変化したことが、日本が強豪国になる後押しをしたと考えられます。ボルダリングでは2015年あたり以降、保持力やパワー重視の課題から、スラブ(緩傾斜)を始めとしたバランス要素の比重が高い課題へと傾向がシフトしました。繊細な動きやメンタルが問われる課題は日本人が得意とするものであり、日本に有利に働いたと言えます。

リードでは観戦者に映えるような大きいホールドが増加し、また複合種目になったことでコースの長さが短くなったことなどから、ボルダリングのようなダイナミックな動きを課題に取り入れる流れが加速しました。これによってボルダリングを強みとする日本人選手がリードW杯でも上位に食い込むようになり、リード力向上につながったと見ることができます。

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近年のリード種目では、ボルダリングで使用されることが多い大きなホールドがルートに組み込まれる機会が格段に増えた。

今回は客観的なデータをもとに、日本勢の強さを紹介しました。こういった情報を踏まえた上でスポーツクライミングの大会を観戦すると、より一層楽しめるのではないでしょうか。

※掲載内容は2021年7月時点の情報です。

  • 植田幹也(うえだ・みきや)
  • 植田幹也(うえだ・みきや)
    様々な視点からクライミングを日々追究する人気ブログ『Mickipedia』(https://micki-pedia.com/)管理人。東京大学卒業後、魅せられたクライミングのためにサラリーマンからジムスタッフに転身。その博識ぶりには定評があり、現在は記事執筆から大会の実況解説まで行う。

取材・文:植田幹也
写真:窪田亮

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