スマホのバッテリー寿命、エキスパートが教える長持ちさせるコツ!

毎日使うスマホ、実はちょっとした工夫でバッテリー寿命が伸びるかも?
バッテリー有識者のKDDI 桑田エキスパートに、バッテリー劣化の仕組みや、劣化を防ぐ使い方のポイントについて聞いてみました。

バッテリーに寿命がある理由

スマホに使われているリチウムイオンバッテリーは、リチウムイオンが正極(+極)と負極(ー極)の間を「充電時には正極から負極へ」、「放電時には負極から正極へ」と移動する化学反応を利用し、充電と放電を繰り返すことができます。

但し、この繰り返しの化学反応により、リチウムイオンの移動が妨げる物質が生成されることや、移動できるリチウムイオンが減っていくなど、バッテリーの劣化により寿命を迎えます。

また「充電してもすぐにバッテリー残量が減ってしまう」、「充電される速度が遅くなった」などの症状が、寿命が近づいたことを知らせるサインとなっています。

このバッテリー寿命も劣化のメカニズムを理解し、使い方を工夫することで、長持ちさせることができます。

イラスト:リチウムイオン電池 充電の仕組みの図解

バッテリーが劣化する要因(メカニズム)

バッテリーを劣化させる要因は、主に2種類あります。

  • サイクル劣化

充電と放電を繰り返すことで、内部の電極表面にできる膜が厚くなり、リチウムイオンの移動が阻害されること。また電極材料の構造が変化し、リチウムイオンを貯めたり、放出する能力が低下します。一般的なスマホのバッテリーでは、500サイクルで劣化が顕著になると言われています。

(参考)充電回数の考え方

0%(充電切れ)から100%(満充電)まで充電した1回を1サイクルと定義とされています※1

イラスト:100%充電(1回分) - 60%充電(0.6回分)- 40%充電(0.4回分) 合計して100%になると1回分の充電とカウントのイラスト解説
  1. 専門家によって解釈が異なる場合があります。
  • 保存劣化

充電が100%付近や、0%付近で長時間放置すると、電極の損傷や不要な化学反応により劣化が早まります。

イラスト:バッテリー100%の状態と、0%の状態。ともに罰印。

「0%」「100%」での長期間放置極力避ける

リチウムイオンバッテリーの保存劣化について、信州大学の是津教授から詳しいコメントをいただきました。

画像:是津教授写真

リチウムイオンバッテリーに詳しい

信州大学 是津教授

さらに、高温や低温の環境は上記の劣化を加速させます。

  • 高温(45℃以上)

バッテリー内部にある電解液の分解、電極材料の構造破壊など、温度が高くなるほど著しく劣化します。

  • 低温(0℃以下)

電解液の粘度が高くなるなど、リチウムイオンの動きが鈍くなり、内部抵抗が上昇します。

イラスト:劣化要因と周囲環境(組み合わさることで劣化が加速する)の図解

スマホを日常的に使用する中で、充電や放電による「サイクル劣化」は避けられません。しかし、「保存劣化」や「高温や低温の環境による劣化の加速」は使い方しだいで防ぐことが可能です。(以降のバッテリー劣化に関する比較データも参考にしてください。)

(参考)バッテリー劣化に関するデータ

充電/放電する量を変化させたバッテリー劣化比較データ

充電や放電の開始と停止の残量を変えた次の3つのパターンで、サイクル数に対する容量回復率(バッテリーの劣化量)を比較したデータです。

  • 0%⇔ 85%
  • 30%⇔100%
  • 0%⇔100%
図表:バッテリー容量の変化(室温)

結果として、 10%の劣化(容量回復率が90%)に達するまでサイクル数を「0%⇔ 85%」 と 「0%⇔100%」を比較した場合、約1.6倍バッテリー寿命が長持ちしていることが確認できます。

  • 0%⇔ 85%:約1,000サイクル
  • 0%⇔100%:約1,600サイクル(1.6倍長持ち)
  • このデータは特定のバッテリーを評価した結果であり、容量回復率、サイクル数は参考値で、バッテリーの種類や使用条件によって異なります。

高温環境下でのバッテリー劣化比較データ

一般的な室温(25℃)と高温(45℃)環境下の充放電を繰り返した場合の比較結果です。

図表:温度によるバッテリー容量の変化

サイクルを重ねるほど差が大きくなり、600サイクル時点で、容量回復率に約20%の差分が確認されています。

  • 室温(25℃):5%の劣化(容量回復率 100%→95%)
  • 高温(45℃):24%の劣化(容量回復率 100%→76%以下)
  • このデータは特定のバッテリーを評価した結果であり、容量回復率、サイクル数は参考値で、バッテリーの種類や 使用条件によって異なります。

劣化を防ぐ使い方のポイント

スマホの使い方で劣化を防ぐことができます。いくつかポイントをごご紹介します。

  • スマホの充電制御機能を上手に使う

スマホに搭載されている充電制御機能を利用することで、バッテリー劣化を防ぐことができます。機能の詳細は機種により異なりますが、充電上限を80~90%におさえたり、朝起きたときなど出発時刻に合わせて満充電の状態にするといった機能があります。

(例)

  • iPhone バッテリー充電の最適化
  • Galaxy バッテリー保護
  • AQUOS インテリジェントチャージ 
  • Xperia いたわり充電 
  • Pixel 充電の最適化/アダプティブバッテリー
  • TORQUE バッテリーケアモード
  • arrows 電池長持ち充電 など
  • 長期利用しないスマホの保管方法

スマホを長期間利用しない場合、以下の保管方法で劣化を防ぐことができます。

  • バッテリー残量は100%や0%の状態を避け、50~60%程度に調整する。
  • 高温及び低温を避けた場所で保管する。
  • 定期的にスマホの電源を入れ、充電を行う。(スマホや携帯電話は電源オフ状態でも少しずつ放電し、0%に近づくため)
  • 充電中はスマホの温度を高い状態にしない

いつもの使い方が、知らないうちにバッテリーを劣化させている場合があります。以下が例となりますが、保存劣化(満充電に近い残量)+高温環境(充電、アプリ動作による発熱、外部から熱が加わる環境)の状態を作らないことが必要です。

NG例)充電中にスマホが高温となるゲームや動画の視聴を行う。

NG例)暖房器具の近くで充電を行う。

画像:ホットカーペットの上にある充電中のスマートフォン

× ホットカーペットの上で充電中しながらのゲームや動画視聴

以上のとおり、バッテリー寿命を長持ちさせるコツは、「劣化の原因となる使い方をできるだけ減らす」、「劣化を早める要因(高温など)を避ける」こととなります。是非、日常の使い方を見直して、バッテリーを大切にしてください。

KDDIでは、スマホを安全にご利用いただくための情報を発信しています。

画像:桑田卓哉写真

システム戦略部 桑田卓哉