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寒い季節のスマホケア:専門家が解説するトラブル防止のヒント!

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12月下旬となり、本格的に寒い季節がやってきました。冬にスマホ取り扱いについて注意すべき点が何か。いったいどんなトラブルがあるのか。KDDIでスマホの品質を管理する担当者に話を聞いた。

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KDDIプロダクト品質管理部 山西 一郎、桑田 卓哉

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【目次】

・ 冬の乾燥した環境でのタッチパネルの反応について
・ 寒い場所でのスマホの弱点とは?
・ 暖房器具周辺でのご利用の注意点
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―――前回、夏にスマホを使う上で気を付けるべきことを教えていただきました。

桑田:前回は、スマホは精密機械ですので、高温の場所へ放置されないようご注意いただきたいなど、夏のご利用の注意点(注1)についてお話をさせていただきました。

今回は冬のご利用の注意点など、トラブル防止のヒントをお話させていただきたいと思います。

  1. 夏にスマホで気をつけたいポイント!実験結果をもとにプロが解説

冬の乾燥した環境でのタッチパネルの反応について

―――冬といえば、タッチパネルの反応が悪くて困ります。何度もタッチパネル操作をやり直したりします。寒いからなのでしょうか。

山西:寒さではなく、冬の湿度の低さが影響しています。指先が乾燥していると、タッチパネルの反応への影響があります。

桑田:一般的に、スマホのタッチパネルには「静電容量方式」のものが使われます。簡単にいうと、タッチパネルの微量の静電気が、指に移動することで指の位置を感知します。指先が電気を通しやすい状態であることが必要であり、指先がほどよく潤っていないとタッチパネルの反応へ影響がでる場合があります。

対策としては、①指の乾燥を改善させる。②スマホの画面を「オフ・オン」する。③スマホ用のタッチペンをご利用いただくこととなります。

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タッチパネルのしくみ(イメージ)

山西:話がちょっと脱線しますが、雨などで画面に水滴がついた時、タッチパネルの動作がおかしくなりますが、これは水滴が静電気を通してしまい、混乱してしまうことが原因です。

その場合は、画面の水滴を拭いていただき、スマホの画面を「オフ・オン」いただければと思います。

寒い場所でのスマホの弱点とは?

―――「寒さ」という観点では、スマホは大丈夫なのでしょうか?

桑田:暑い夏でのスマホの弱点はリチウムイオン電池でした。故障・膨張・発火の恐れがあると前回ご説明しましたが、寒い冬でのスマホの弱点も、同じくリチウムイオン電池なのです。

―――??? 寒くても、故障・膨張・発火の恐れがあるのでしょうか?

山西:膨張や発火はしませんが、寒いところではリチウムイオン電池の性能を出せません。以前の記事(注2)ですが「寒いとリチウムイオン電池の持ちが悪くなる」事象を実験で説明しています。

  1. 寒い冬はスマホの電池持ちが半分?カイロはNG?実験結果をもとにプロが解説
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周辺温度による、電池持ちの比較実験結果(動画再生繰り返し、再掲)

―――ああ、そうでしたね!

桑田:低温環境ではリチウムイオン電池の内部抵抗が大きくなり、出力が低下します。

―――電池持ち以外にはどんなことが起こるのでしょうか?

桑田:電源が切れたり、充電ができない場合があります。

山西:前回とは違う実験で確認してみましょう。

●実験①

  • スマホを、冬の屋外を想定した-5℃の恒温槽に入れて冷やしておく。電池残量は10%未満。
  • 十分に冷えた後、恒温槽に入れたまま、充電器につなぎ、電源を入れる。
トビラを開けた状態の恒温槽

恒温槽(トビラを開けた状態)

―――恒温槽というのは、温湿度を自由に設定できる、実験用の箱のことでしたね。

●実験結果

  • 充電できない。(充電ランプも点灯しない)
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―――充電ができなくなってしまいました! 

桑田:低温環境では電池の内部抵抗が大きくなってしまいます。電池が低温のまま充電してしまうと電池を痛めてしまう恐れがあるので、スマホ側で制御しているのです。

山西:冬場だと例えば就寝中に窓際で充電しようとしてもうまく充電できないといった場面に遭遇するかもしれません。

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リチウムイオン電池は、寒さにも弱い

桑田:スマホの動作保証周囲温度の下限(通常5℃)より低い場合、スマホが動作しない場合がありますが故障ではありません。温かい部屋に移動したり、体温で温めたりすれば、ちょっと時間がかかりますが復活します。

山西:時間を短縮したいからといって、暖房器具やカイロでスマホを温めるのは駄目ですよ!

取扱説明書にも下記のような記載があります。

取扱説明書のイメージ画像

暖房器具周辺でのご利用の注意点

―――スマホを温めるのは駄目、とお伺いしましたが、注意すべき点がありますか?

桑田:リチウムイオン電池は高温にも弱く、スマホの取扱説明書には「5℃~35℃が使用温度」と記載されています。あくまでも目安ですが、これを超える環境温度で使うと、性能劣化や膨張につながる可能性がありますので注意が必要です。

 

以前の記事(注3)でもポケット内でカイロと一緒に入れることやストーブの近くでは使うと思わぬ高温になる可能性があることをお伝えしました。

  1. 寒い冬はスマホの電池持ちが半分?カイロはNG?実験結果をもとにプロが解説
温度グラフ

「熱源(電気ストーブ)からの距離による温度の変化」

―――電気ストーブ周辺では、85℃を超える場合があったのですよね。電池が膨れる可能性があるとのことでしたが、本当に膨らんでしまうのでしょうか。

桑田:実験で確認してみましょう。ただし、危険ですので絶対にまねしないでくださいね。

●実験②

  • スマホ内蔵のリチウムイオン電池(満充電状態)を取り出し、厚みを測定する。
  • 95℃に設定した恒温槽の中にリチウムイオン電池を8時間入れる。
  • 恒温槽よりリチウムイオン電池を取り出し、厚みを測定する。

●実験結果

実験前後の画像
表:試験前5.24mm 試験後5.58mm 差0.34mm 変化+6.5%

―――膨らみましたね!危なくないですか?

桑田:リチウムイオン電池の内部が、熱によってガス化し、膨らみました。もっと激しく内部が反応すると、もっと大きく膨張したり、発火する可能性があります。高温の場所へ放置されないよう、ご注意ください。

山西:繰り返しになりますが、絶対にまねをしないでくださいね。

―――本日はありがとうございました。

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文、イラスト:KDDI プロダクト品質管理部

動画、写真:KDDI プロダクト品質管理部

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